Apple Logic Pro9ユーザーが意を決して同じくXに換えてみた導入記のその2。その1はこちら。
こういう導入記は「ここがたいへん」「あそこでトラブル」みたいな話になりがちだが、この文章もそういう筆の進みになってしまう。いきなりだが9までのプロジェクトをXではそのまま開けない。何と言っても拡張子が異なるのだ。
9まで:.logic
Xから:.logicx
9で作っていたプロジェクトをXで開く時はフォーマットの変換を行わなければならない(「開く」コマンドで旧プロジェクトを開く時にアラート画面が出る)。読み込んだところでいろいろと細かい不具合はあるが、プリプロレベルのものなら手仕事でちょこちょこ直せば大きな問題ではない。しかし9までのプロジェクトをXで音を出してみて驚く。
「これ、Logicの音か??」
9とは明らかに音質が異なるのである。7から9にアップデートした時も同様に思ったが、今度の変わり様はあの時以上である。下世話に言えばEDM系の音質に変容した。ハイとローはくっきり。その正体はブーストしたのではなく500Hz付近がゆるやかに凹んでいるかのような、そういう印象である。9で整えたEQセッティングのままだとキックなど耳に痛い感じになってしまう。
販売戦略上そうせざるを得なかったのだろうし、ほとんどの曲でそういう方向にEQを攻めていく私としては楽と言えば楽である。ただ特定のジャンルやアンサンブル形態によってはちょっと慎重にならざるを得ない音でもある。小編成の生楽器などは、ちょっとまとめるのに苦労しそうだ。つまりエレクトロニカよりの音質なのだ、Xは。
これとは別に私が「あぁかゆいところにようやく手が届いた」と思ったのが、アレンジメントウィンドウのリージョン描写である。
オーディオリージョン:ステレオファイルがちゃんと左右の波形で描写される
MIDIリージョン:ピアノロール的ノートの高低が実データとシンクロしている
「は?なんのこっちゃ。それができないDAWってあり得ない」と言う方も多かろう。9まではオーディオリージョンはステレオだろうとモノラルだろうと、アレンジメントウィンドウ上のリージョン内で波形は1本で描写されていた。MIDIノートデータの高低はかなりアバウトで、極端に高いノートはひっくり返って最低音位置に描かれたりしたものだ。こうなるとオーディオはチャンネルストリップを確認しないとステレオかどうか確認できず、ノートイベントは「あ、あるな」くらいの確認しかできなかった。だからこの件を褒めるのは間違っているのだが、Logic内の進歩は進歩なので書いておく。
同じ曲(プロジェクト)でMIDIトラックを選択した。
こちらはLogic Pro9
こちらがLogic ProX。
88鍵盤分が拡大されることなくリージョン内に収まっている
これも同じ曲(プロジェクト)内での比較。
9のオーディオリージョン。
リージョントップにステレオマークが付いているので
ステレオファイルと確認できる
こちらはX。
万歳!ひと目でステレオファイルと認識できる!
今回のまとめ
○9までのプロジェクトはXで直接開けずフォーマットをコンバート時に設定が引き継がれない項目がある
○音質が今風に激変した
○アレンジメントウィンドウ上のリージョン表示がようやくまともになった
現場からは以上です。