PreSonus社の物理フェーダー製品「FaderPort(以下FP)」を購入した。
Mac OS 10.11.6+Logic Pro Xという環境になってそこそこ安定はしている暁スタジオだが、唯一ハードウェアの更新が必要だったのが物理フェーダーである。これまで暁スタジオで使っていたのはFrontier Design社のAlpha Trackという製品だったのだが、ここんちはいつのまにかハードウェアよりもソフトウェアに執心するようになってしまい、アップデートが絶えて久しい。もはやレガシー製品となってしまい、El Capitan対応のドライバーそのものが無いのだ。
物理フェーダーとはトランスポートコントロールや音量調整、パンニング調整などに特化したMIDIコントローラーだから、例えばS90XSについているフェーダーやpad KONTROLのツマミでも事足りる(MIDIメッセージのカスタマイズさえできれば)。実はことさら専用機を買い替えなくても済む話なのだ。
ではなぜ物理フェーダーの代替わりを行うかと言えば、特に音量のオートメーション書き込みには100mm長のスムースに動くフェーダーを手で操作して書き込むのが一番手っ取り早いし、より音楽的なアプローチができるように思えるからだ。同時にそのトラックの音量がどれくらいなのか、目視確認できるのも案外高い効果だと思う。
そんなわけで暁スタジオでもAlpha Trackを導入していたわけだが、Mac OS 10.8.5+Logic Pro 9環境ですら動作が一部怪しかったりして、どーして初めからFPを買わなかったのか、毎度後悔していたのだった。※
今回はYAMAHA仙台店(正式名称は株式会社ヤマハミュージックリテイリング仙台店)のSさんにお願いし、値引きしていただいた(ので購入金額は伏せる)。購入したのはFP単体、同社のDAWアプリケーションStudio Oneなどが付いてないシンプルなパッケージ。いざ開封の儀に至ると、本体がずしりと重たくて良い感じである。動かしてナンボの機材なので、簡単にずれたりしない方が断然良い。フェーダーそのものはアルプス電気の100mmモノ。抵抗感も適当だし動きは滑らか。このフェーダーのためだけに約2万円払う価値はある。同時に各種スイッチが硬くて驚いた。もっとフカフカ押せる方が良いのだが、グイッと押下げる印象がある。慣れれば問題ないのかもしれないが、特にトランスポート(再生、早送り、巻き戻し、停止、録音)はもうちょっと気楽に押せる感触の方がありがたかった。
さてこのFP、ドライバーのインストールにあたり注意点がふたつある。
- ドライバーのバージョン1.3.5はフェーダー機能に一部誤動作あり
- Logic Proの複数バージョンがMacにインストールされていると、正しくインストールできない
暁スタジオでは特に2.のバグ(と言っていいだろう)に阻まれ、「なんだよ動かねーじゃねーか!」という事態に陥った。また1.についてはパッケージに1.3.3が同梱されているのだが(なんとCD-R)、2.の回避策として「Logic Pro X.appコンテンツフォルダ内のMIDI Pluginフォルダに直接バンドルを入れろ」が案内されているのだが、そのCD-Rに肝心のバンドルが見えず、手詰まりになってしまった。
仕方ないので、ダメ元(フェーダー機能に一部難アリ)で最新版ドライバー(2017年12月19日リリースの1.3.8)をインストール。こちらは簡易インストールで無事に完了。念のための再起動で完全に認識された。Logic Pro XでFPをインストールから認識させるまでの手順を一応書いておく。
- FPをコンピュータに接続していてはいけない
- 最新版ドライバーをPreSonusウェブサイトからダウンロード
- パッケージを展開しインストールする → ここでFPをコンピュータに接続・起動
- AudioMIDI設定.appでFPが認識されていることを確認
- LogicProXを起動し、LogicProメニュー>コントロールサーフェス…>設定… コマンドを実行
- 設定ウィンドウ内、設定メニュー>追加…を実行
- 各社のMIDIコントローラー名リストが表示されるので、FPを選択・追加
- 設定ウィンドウに戻るとサーフェスリストにFPが表示されているので、コントロール+クリックしてインスペクタを開く
- OutPortとInPortをそれぞれFPに設定する
以上である。
ひとまず無事に動いてはいるが、もう少し検証を続けようと思う。
※Alpha Trackの購入時は師匠に代理店に口を利いてもらったのだが、「Fader Portじゃないくていいの?」と念を押されていたのに「ツマミが多い方がいいっす!」と短絡思考で決めてしまったのだった。バカバカオレのバカ。